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   「硯」は石を見ると書く。素材の石を見極める力がなければならない、まさに石と向かいあっての真剣勝負である。硯石は天地の宝、人間は万物の霊、人は石を養い、石も人を養う。人は情、石は縁。「石を見る」ことは硯だが、同じ硯でも、視ても見えない、遇っても賞せず人もいれば、「宝」と認め、点石成金の人もいる。千金得易く、名硯求め難し。

   「硯」は昔「研」と書く。五千の歴史があり、中華文明の宝、シンボルでもある。昔、文人の創作を「硯田」、「筆耕」と表現し、正にその通りである。人は硯を研ぎ、硯も人を研ぐ。この世の中もまるで「研」のように、人々を研ぎ、人々の角を研ぎ、人々の心を研ぎ、完美な人間を造り上げる。

   研ぎ終ったら書く。石の上で擦り出した墨で、自分の思い、自分の考え、自分の心、喜怒哀楽を書き残し、自分の隅々まで人に見せる。本当に面白い!「研」は貴方の全てを研ぎ砕き、「硯」は貴方の全てを書き残す!

   硯を遊んで、心を悦ばせ、美を見付ける。硯を読んで、知識を身に付ける。硯を観賞して境界を高める。硯を論じて志を励んで人生が解る。人は品があり、石は質がある、「品」と「質」が通じ合う。

   美人は鏡を愛し、武人は刀を愛し、文人は硯を愛する!

 

 
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